永代供養墓の流行(1)

 最近、霊園の広告やCMでやたらに目立つのは「永代供養墓」という言葉です。それは今に始まったお墓ではなく、何十年も前からあったものですが、最近になって一般的なお墓を建てるのではなく、共同のお墓とも言うべき永代供養墓を使用なされる方が増えて来た事を示しているのでしょう。私が父親から霊園美原ロイヤルの代表の地位を継承した平成12年11月以降、もっともっとお客様に満足がいく墓参をしていただきたく、私は霊園に様々な改良を加え、特に霊供養の設備を重点的に整えて参りました。

 平成14年夏には、将来のお墓守がいらっしゃらないお家の為にと、墓地を何区画か潰して、一つの巨大な石の基台を置き、そこに74個の納骨室を彫り並べ、各納骨室の穴の上にそれぞれミニチュアのお墓を置くという独創的な集合型永代供養墓「佛乗寺永代供養墓」を全国に先駆けて造りました。全国各地で永代供養塔は造られていましたが、皆が皆、合葬(一つの納骨室に総ての遺骨を埋葬する形)という形態であったが為に、利用者は今一つ伸びなかったそうであります。それに対して美原ロイヤルのは納骨室が一つ一つ独立している訳で、これを売ろうと言うよりも、ただ福祉目的で創ったのに、蓋を開けると意外な人気で、霊園HPを観たと使用の申込みが相次ぎました。

 永代供養という意味は何か? 霊園は遺族に代わってどんな供養をしてくれるのか? と往時、そういった質問をよく受けました。企画の段階で、霊園がすべき供養のことは念入りに調査研究しましたが、その中で私が善いと思ったやり方を、即ち埋葬者の三十七回忌を一応の区切りとして、お盆と年2回のお彼岸に、提携先のお寺様に現地に来ていただき、埋葬者の俗名をお呼びして、読経供養していただくことにしました。するとそのサービスを受けたいが為にお墓を買うのを止めて、永代供養墓をお求めになる方が続出し、佛乗寺さんが法要をなさる度に永代供養墓の前には立てない程の多くの参列者で混雑することがありました。

 この永代供養墓は完売しましたので、私共は集合型永代供養墓のファンの為に、昨年の夏に竣工しました美原東ロイヤルの第二工区の奥にある古代ローマの神殿の前に、新しく同じ永代供養墓46基を造りました。今度はお寺様を特定せず、法要も仏教3宗派に代わる代わるしていただくことにし、納骨室の上に置く墓石については、デザインが斬新で凝ったものにしました。そのお洒落さが受けたのか、あるいは宗派を特定しなかったのが良かったのか、すぐに完売となり、慌てて監督官庁の許可を得て、隣の墓地を潰して同じ形の集合墓22基を増設しました。礼拝対象の神殿からは離れますので、17世紀のスペインの巨匠、ムリリヨの聖母像を参考に石の女神像を創って後ろには夏に百日花が咲くサルスベリを植え、礼拝対象のモニュメントにいたしました。