現代霊園に変身への挑戦 その(2)

  

 霊園事業をする者は、ともすれば墓地永代使用料、つまり墓地代の収入に目が行ってしまいます。聖地当たり年間数千円の墓地管理料より、聖地当たり数十万円する墓地代の方が多額であり、そちらの方が主たる収入に見えるからです。墓地をオープンさせ、チラシを大々的に新聞に折り込んで顧客の募集を図る時なら、墓地管理料などとは比較にならない墓地代が入って来るでしょう。やがて墓地使用率が60%を超え、70%に達した辺りから、新規の使用申し込みは、大きくペースダウンして参ります。


 そんな時でも、墓地管理料収入だけで経営している霊園なら、問題は起こらないでしょう。大阪府が私を、経営方針に問題在りと叱りつけたのは、運営経費を墓地管理料では足らなくて、一部墓地永代使用料の入金を当てにする霊園なら、収入が経費に追いつけず、経営が行き詰まる時がやがてやって来ることになるからです。そこが霊園経営者の知っておかなければならない第一のポイントなのです。


 霊園経営を墓地管理料で賄うと言えば、至極当たり前のことを言っているように聞こえます。しかしオープン当初、私共は霊園美原ロイヤルの管理・運営を先達の石材店に委ねておりました。6年後、霊園運営の仕事を引き継いだ時、石材店では墓地管理料の安さを売りにされているのに気づき、それはすぐに新しい契約者から是正させてもらいました。しかし古い顧客様の管理料を是正して行くのに、10年の歳月がかかりました。ですから一旦決めた墓地管理料の変更はそれくらい困難なことなのです。


また近鉄バスの停留所が歩いて7分の処にあって、松原、北野田、貴志駅の3駅からやって来る霊園なのですが、オープン時から販売促進目的で、希望者には霊園で無料送迎バスを松原、北野田の2駅に仕立てると決めていますから、これも途中で無くす訳には行きません。水道光熱費が相当かかる管理棟が建って、墓参客様の休憩所になっています。そして石材店様から運営を引き継いだ後、公園墓地に変えて行くと言う名目で、私が植栽を増やしたり、花壇を作ったりしましたから、もうどんなにしても維持経費が相当かかる霊園になってしまっていたのです。

(画像は第二霊園二期工事の造成工事が進む、平成22年の春から夏にかけて美原ロイヤルで撮影したもの)