現代霊園に変身への挑戦 その(3)

  

 美原ロイヤルメモリアルパーク(堺市美原区小平尾 敷地約2200坪 4000聖地 2700区画)が付近、羽曳野市埴生野にて第二霊園開発の申請を提出したのは平成18年の暮れでした。それは申請を審議し、その可否を判断する行政側から見ても、誠に自分勝手な矛盾した申請でした。即ち一定の墓地使用率に達するまで、霊園の運営費を主に墓地永代使用料の収入に頼ってきていたのですから、今後の運営経費の収支を合わせるに新たな墓地代の収入が必要だったので第二霊園の開発になった、というのが正直なところだったからです。問題は運営を墓地使用料に頼っている霊園の企業体質でした。


 申請が出された南阪奈道側道沿いの300坪の森林を使っての墓地開発用地で、もしものこと、事業許認可が出され、美原ロイヤルの第二霊園としてオープンしても、すぐさま墓地使用の契約が進み、永代使用料が入ってしまうと、また霊園は行政に拡張申請をしなければならなくなるはずではありませんか。開発申請が出されたら、必ず許認可が降りるというものではありません。周辺の開発が進んで、新たな拡張申請地の近辺で人が住むようになったら、行政は法令に基づき、この申請を許可することは出来なくなります。また何らかの事情で、先の申請時に、監督官庁と交わした約束事のひとつでも守れずにいたりしたら、少なくとも次の拡張申請が提出されても審議もされないことでしょう。


 この申請が、即ち現在の美原東ロイヤルメモリアルパークの第一期300坪の開発申請が提出された平成18年の12月から翌年の2月頃までの期間、行政側によって審議されたのは、この地で霊園を造って良いのか、どうかではなくて、民営霊園、美原ロイヤルメモリアルパークの経営をいかにすれば長期安定化させるか、だったのです。つまり霊園の経営を、墓地の永代使用料収入に頼らず、墓地の管理料収入だけでやって行くには、経営実態のどこをどのように改めたら良いか、まで行政側は、経営者の私に代わって考えて下さったのでした。


 行政側の言う理想的な霊園経営をするのは、美原ロイヤルメモリアルパークの現行の墓地管理料を2倍以上引き上げなければなりませんでした。しかしそれは実際は不可能な対策でした。石材店が私に代わって管理運営して下さっていた開園時の聖地当たり2000円の墓地管理料を、3000円に変えるだけで、旧いお客様との間がぎくしゃくし、それを緩衝する時間的猶予として10年間の移行期間が必要だったほどでした。それをまた倍にするなどと言ったら、霊園と墓地所有者との間に収集がつかない亀裂がはいることでしょう。私は監督官庁に、そのご提案は絶対に実施不能とお断りいたしました。だからこそ墓地を増やす、即ち墓地管理料の支払者数を増やすしかないのだと主張させていただいた訳です。

(画像は美原東ロイヤルが開園し、その3年後に第二期造成工事が竣工した間に撮られたもの)