善き願いは必ず叶えられる (その6)

 

 平成18年の春、美原ロイヤルメモリアルパークのすぐ近くの羽曳野市埴生野というところに霊園に適した空き地が見つかったところまでお話ししました。現在の美原東ロイヤルメモリアルパークがあるところですが、この場所に霊園開発用地が見つかったからと言って、簡単にそれが取得出来て、開園できた訳ではないのです。私は何度も何度もこれを阻む困難に立ち向かわなければなりませんでした。しかしその希望が善き願いであれば、必ず成就するのだと自身の体験からそう申し上げたかったのです。

さてこの南阪奈道南側の羽曳野市埴生野一帯に土地を持つ地主さんを調査したのが、一年前からずっと第二霊園の開発用地を探し回ってもらったのに、成果を挙げ得ないまま無駄骨を折らせてしまった藤井寺の不動産屋の大槻さんという方でした。南阪奈道とさつき野住宅地を南北に走る幹線(八尾富田林線となる計画線)に囲まれたこの辺りの地積図を見ますと複雑に境界線が入り乱れた無数の土地がありますが、その中でも先ずは幹線道路から進入可能な土地を確保しなければならないでしょう。

 その中で私が着目した土地は面積が千坪余りの、ある一族のご親族による共有地でした。しかも地権者はなんと十人以上おられたのです。であればご親族全員が口を揃えて先祖伝来の土地を売ろうと意見が一致するなんて殆どあり得ないことでしょう。またその土地への進入路は別の土地である為、通行権が新しい地権者にも得られるのかどうか確信が持てない問題もありました。こんなに近くて霊園に相応しい空き地があるのにと悔しがる私の気持ちを察して不動産屋の大槻さんは、地権者の一軒一軒を何ヶ月もかけて辛抱強く廻ってくれました。

しかし大槻さんは遂にその共有地の交渉を諦めたかのか、あるいは後回しにしたのか、8月になると、その北隣りの南阪奈道に面した約300坪の土地を霊園用地として買わないか、と提案してきました。確かにその土地なら進入路の問題はありません。幹線に面した霊園ですから墓参の交通も至便だし、毎日多数の車が通るのですから宣伝効果も大きいでしょう。ただし地主さんはこの土地を売りたがっておられるのではなく、こちらが欲しいと言うのなら考えてもよいとのことで、それなら取引価格は一体いくらにしなければならないのか?と尋ねると、私の希望が無惨に打ち砕かれる答えが返ってきました。

 決して地主さんの希望価格が高いと言うのではありません。幹線道路に面した土地ですから調整区域でも沿道サービスを目的とするなら商業地として利用することも可能なのですから。しかし霊園を造るには様々な規制があって、今日では大阪府下の場合、駐車場は墓地件数の3%以上、参道の幅は1メートル20センチ以上、緑地面積は霊園の15%以上が必要です。以上の条件を満たすなら墓地は敷地の四分の一しかとれません。

このことを考えると、その敷地単価は聖地単価が低いこの辺りで霊園をするには採算をまるで度外視するもの。このような贅沢な土地を使った霊園なんて、業界の人間なら、誰にも思いもつかないことです。そんなことには無頓着な大槻さんが,遂に買い主に喜んでもらえる土地が見つかったと大はしゃぎなのを見ていると、私もそんな自己限定を捨て、前向きにプラス思考で考え直そうと思い立ったのです。