季節・季節の奈良公園を散策します  ― 晩秋 編 ―

12月17日、春日若宮の「おん祭り」のメイン・イベントである「時代行列」が行われ、予報が外れて暖かい日曜日だったこともあって、新聞の報道では20万人の観光客が訪れ、三条通り周辺が大いに賑わいました。さて奈良公園散策の秋篇をつくって、このトップページを更新することになっていました。秋と言えば紅葉。年々の温暖化のせいか、奈良公園がすっかり紅葉に色づいたのは11月も終盤になってからのこと。お陰ですっかり更新が遅くなりました。

  

春の奈良公園の桜の中で、ひとつだけ選べと言われるなら、私はやはり氷室(ひむろ)神社のしだれ桜を選ぶでしょう。では秋の奈良公園の楓の中でひとつだけを選べと言われたなら、私は春日大社神苑の池の端の楓でしょうか。あるいは三笠山下の水谷(みずや)茶屋付近に群生する楓の風景も、シルクロード交流館裏山に群生する楓も、いずれも優劣つけ難いと思います。

さて晩秋の奈良は日の暮れるのが早くなり、「なら町」も外灯が点々と灯るものの、人の往来はめっきりなくなって夕闇に静まりかえってしまいます。私は奈良公園を散策するのになら町付近で昼食をいただくのをお薦めしたことがあります。昔からある店は、例えば「文助」さん、「はり新」さん、「あしびの郷」さんなど、これらの店は揃って和食のお店でした。けれども最近、このなら町にもずいぶんハイカラなレストランが増えました。外灯の明かりに浮かぶノスタルジックな建物のシルエットに古都の情緒を味わいながら、なら町を食べ歩くというのも良いかと思います。洋食では以前、民家の和室でフランス料理が楽しめる「O.MO.YA」さんを紹介したことがありますが、他にもカウンター席から調理の手際よい手さばきを見せてくれる「マルス・ラパン」さん、沖縄から取り寄せた食材を使ってのユニークなフランス料理を食べさせる「ふりぽんぬ」さんや、またとっても家庭的な雰囲気の「ならまち知路留」さん、その他、「黒毛和牛ステーキ中山」さんや、「囲炉裏ダイニングたなか」さんなど、これらのお店は私などが紹介するまでもなく、月間誌「サヴィ」別冊、地域雑誌の「naranto奈良人」、旅行雑誌「サライ」、最近では「あまから手帖」10月号でも詳しく紹介され、なら町も単に歴史的景観の保存の町から、どんどんグルメの町に変わろうとしています。

近鉄奈良駅前の商店街は日が暮れるとシャッターを閉めてしまうお店が多く、そんなせいもあって昼間に比べ夜は人の往来が少なくなる傾向がありましたが、なら町に新しく出店するレストランが多くなり、それらのお店が頑張ってくれますと夜の奈良の街も変わって行くのかもしれません。