嫁ぎ行く娘の君に
(10月2日の)結婚披露宴の最後に君はお父さんお母さんを脅かすように用意していた「両親への感謝の手紙」を涙ながらに読んでくれたね。その中に読書嫌いで国語もよく勉強しなかった中学時代の君に、僕が12枚もの手紙を書いて、使う言葉で人間の評価が決まることを思えば、言葉を正しく使うことがいかに重要なのかと懇々と君を説いたみたいだが、そんなにそのことが君の頭の中に父親の思い出として残っていたのに、僕の方はすっかり忘れていたとは申し訳ないことだ。
申し訳ないと言えば、前回のブログにも書いたが、君の幼児の頃や小学校時代をよく覚えていないことだ。その10年間はお父さんの仕事が一番大変だった時代でもある。しかしその後今の霊園事業に転業し、生活にゆとりが持てるようになった。お父さんが君とのことで一番覚えているのは、平成14年の秋にお父さんが所属している大阪の「栄える会」でハワイ研修旅行があった時に、家族のみんなをオアフ島に連れて行きたくて、既に社会人だったお姉ちゃんは行けなかったが、お母さんと君と3人でその旅行に参加したことだった。
君はさぞ驚いただろう、オアフ島に着けばその晩からリゾートホテルで休めるものと思いきや、連れて行かれたのはハワイのSEICHO-NO-IEの研修施設だった。ハワイの最初の晩はツアー一行の女性達と大部屋での「ざこ寝」だったのだからね。研修旅行で予定した行事が総て終わり、自由行動の最後の一日に家族3人でダイヤモンドヘッドに登った楽しい日を、あの楽しそうな君の笑顔を僕は忘れない。
君にとって初めての海外旅行が初めから終わりまで観光旅行だったらもっと楽しかったのかもしれない。君はお父さんの神様好きが家族旅行の楽しみを半減させたと思ってはいないかい。君にお父さんの神様好きをすべて理解してくれとは言わないが、お父さんが手を合わせて神様に何を祈っているのか、これだけは知ってもらいたい。お父さんは神様に、自分のことで、神様どうか○○して下さい、などと祈ったことはないのだよ。○○して下さいと祈るのはいつも家族や他人(ひと)のこと、僕は自分のことは神様に感謝の祈りを捧げるだけなのだ。
最近有名な科学者であるホーキンス博士が、宇宙は自然に出来上がったもので、宇宙を創るのに神様の力は必要なかった、と述べたことがニュースになったが、それでもお父さんは、人間の理想の極である最高かつ絶対の存在を、それを神とは呼ばなくても、そういう存在を念頭において、そういう力に活かされているのだと謙虚に生きる方が人間は幸福だと信じているのだ。そうしてここでも大事なのは言葉、正しく明るい言葉は必ず運命を明るくするよ。言葉は神なりと言うほどに力があるのだから。
(画像は二人の娘が写っている昔々の野瀬家の年賀状からスキャナーしたものです。)