有森裕子さんの講演を聴いて

 私はこのブログでも、明るい話題に触れ、暗い話題には触れない、探してでも世の中の明るいところを観るようにする、そして常に明るい言葉で話すよう心がけています。人間の運命は、その人の思い(思念)や発する言葉によって、良くなったり、悪くなったり、願いが叶えられたり、叶えられなかったりすると言う考え方があるからです。そんな趣旨のテーマの講演会が松原で開催されるとのことで、私はずっと楽しみにしていました。
7月20日金曜日、松原市文化会館にて、松原青年会議所主催の市民オープン例会として、女子マラソン・ランナーとしてバルセロナ五輪(銀メダル)やアトランタ五輪(銅メダル)で活躍され有森裕子さんの「すべてを力に ~夢や目標を持ち続けること~」をテーマにした講演会が開催されました。


有森選手の講演は私の期待通りでした。この講演の内容について、いくつか抜粋してお話しいたしましょう。
有森祐子さんは、ご自分がオリンピックの女子マラソン競技で、輝かしいメダリストになったことで、さぞやマラソン・ランナーに求められる総ての資質を持って生まれて来たのだろうと思う人が多いだろうが、実はまったくそうではなかった、という処から話を始められました。生まれたときは股間接脱臼だったと。それが治ると脚が酷いO脚になったと。その為に小さい頃はしょっちゅう躓いて顔や腕が痣だらけだったと。この様に有森選手の身体はマラソン・ランナーからかけ離れたものであったと言えるのです。


しかしそのような有森さんを勇気づける人が現れた。それが小学校時代の体育の教師の安藤先生でした。先生は、自分の身体の特徴を他人と比較して欠点に思うのではなく、それを自分だけが持つ武器だと思うようにしろ、そして何か一つで良いから、それを頑張り続けることだ、と彼女に教えました。何事もものは考えようで、自分で悪いと決めつけるから、それが自分の欠点になるのであって、他人には無い、自分にしかない武器だと思えば、上を向いて人生を生きることができるのだと言うことなのでしょう。そして有森選手には、たった一つ頑張り続けたことが、長距離走だったということです。


中学時代、運動会の800メートル走を3年連続で1位をとり続けた有森さんは、それで走ることに自信を得て、私立の就実高校に進んで同校の陸上部に入部を希望するのだが、中学から大学までの一貫校である同校では中等部から持ち上がって来た素質ある陸上選手がおり、他の中学から来た素人同然のランナーなど要らんと断られてしまいました。しかし有森さんは諦めず、何度も何度も門を叩いて、遂に一ヶ月後に入部を認めさせたのでした。その後、日本体育大学を経て進路を実業団へと舵をとります。折しもリクルート事件真只中にあったリクルート社に、半ば押し掛けのような形で、全くの無名で記録も残していない身でありながら、その熱意を監督の小出義雄に認めさせ、同社陸上部への入部を果たしたのです。思いは諦めなければ必ず成就する、の体験談です。